Co2削減のための「アルミダイキャスト材の高性能化」事業

事 業 計 画

★ 事業概要; 全体・個別計画

当社が研究してきたアルミ部分軟化法を応用しつつ GHG排出削減効果 を焦点に当て「再生地金によるアルミダイカスト利用範囲の拡充」をテーマに据えた グローバルな中長期規模のプロジェクト です。

事業化実現への「基礎研究・販路拡大」に必要な取り組みとして、以下の3項目をテーマ化しました。

  1.  ADC12 素材の調査・解析: 素材の知見収集(引張試験、組織観察、試作プレス加工)
  2.  レーザー加熱の検証: 急加熱・急冷却に対する 素材への影響度検証
  3.  ADC12 伸び改良実施: その他の要素を加えた「組織の微細化」による特性変化の検討
★ 実施スケジュール(概略)

基礎研究 及び 販路拡大への「ステップ・スケジュール」を、以下に示します。

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1. ADC12 素材の調査・解析 ~ 素材の知見収集

◆ 計画概要: 背景と目的、ニーズ調査・確認 他

本研究の「新規性・独創性」を始めに紹介します; 「GHG排出削減」をターゲットとして、アルミダイカスト再生地金の本格的な利用拡充(例:プレス加工での利用)を検討する場合 最大の懸念事項は「加工性の悪さ= 金属伸び率の低さ」 と考えられます。

材料特性について一般的なアルミ板材「A5052材」を アルミダイカスト素材「ADC12」と比較した場合、伸びに関しては「圧倒的に不利な状況」と考えられており、その結果(当社の知見の範囲では)『ADC12のプレス加工・取り組み事例』は見つける事が出来ませんでした。しかし逆に考えれば、当社が取り組んできた「部分軟化法による伸びの改善」を本素材へも応用できれば(ある意味) 従来常識を覆す様な新規性 が認められる可能性がある、と言えるかもしれません。

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2. レーザー加熱の検証 ~ 素材への影響度検証

◆ 計画概要: 背景と目的、ニーズ調査・確認 他

【参考画像】

 昨年度の実験から

昨年度の事業で「素材変化へのレーザー加工の有効性」については実証されましたが(例:アルミ素材の軟化、レーザー部分加熱による表面硬度のアップ)、その一方で レーザー加工による急加熱・急冷却が素材に与える影響 は、本事業の目的・成果に対し『リスク要因』と考えられていました。

そこで、今回初めて利用する素材「ADC12」及び その他の素材について、多用な条件でレーザー加熱を行いながら「素材の状況観察」を行うことで、リスク回避と知見の蓄積を計画しました。

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3. ADC12 伸び改良実施 ~ 「組織の微細化」による特性変化の検討

◆ 計画概要: 背景と目的、ニーズ調査・確認 他

昨年の事業から、アルミ熱処理材の場合は 溶体化処理<レーザー加熱>を行う事で部分的に素材が軟化しプレス成形性が良くなる ことが分かっていますが、「ADC12」の場合、レーザー加熱・急冷却のみで素材伸び性が良くなると(簡単には)考えにくいと思われます。そこで、本件の補足研究として 強い歪み:組織の微細化 (※愛知県・重点研究プロジェクトI期 研究成果から)による検証も行うものとしました。レーザー加熱のみで期待する成果が出ない場合に、有効性を高める措置として、活用可能と考えています。

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4. 成果報告 ~ 期待以上の成果が出ており、検証方法を再編予定

◆ はじめに ~ 成果報告の仔細内容に関して

前述した様に、今回の取り組みは当社にとっても「アルミダイカスト材への 初めての本格的な適用」であった為、当初は想定したような成果が得られず、実験は相当に難航しました。しかしながら、色々なトライをした結果(今度は逆に)予想以上の成果(軟化)が出始めたため、測定方法を変更する等の対応を致しました(ロックウェル→ビッカース)。

【註】 ロックウェル硬さ(HR) と ビッカース硬さ(HV) : 出典参考 Wikipedia

いずれも工業材料の硬さを表す尺度で、押込み硬さの一種。ロックウェル硬さ試験は試験機の操作が容易で、熱処理等における「部品表面の硬さ評価」によく用いられる。ビッカース硬さ試験機は顕微鏡で対角線の長さを測定し硬さの値を計算表示する方式で、表面硬化材や被膜、溶接材等の「断面の硬さ分布の測定」に向く。

しかし、成果は出たものの ①何故、そうなるのか? ②常に、そうなるのか については、現時点では確定的な結論が得られておらず「今後の更なる検証を要する」状況です。

つきましては、本報告では「結果データの提示」を中心とし、過程手法や原理の解明については(現時点では)差し控えさせて頂く形としておりますこと、予めご了承ください。 なお、今後予定している「展示会出展」では(簡単ですが)質問等への回答をさせて頂きたく 予定しています。

◆ 軟化の状態(測定結果) ~ 現時点での評価(見解)

レーザー加工による軟化により 素材サンプル(試料)が湾曲した(反った)状態になっている のが一目瞭然かと思います。

加工後に(当初の予定通り)「ロックウェル硬さ」で外部試験場に測定して頂いたのですが、以下の様な結果が出ました。

これ併せて 試験所から 試料に(想定以上の)反りがあるため、測定方法を変更して(キチンと)再測定した方が良いのでは? とのアドバイスを頂き、社内検討の末に「ビッカース硬さ」で再測定をすることとしました。その結果が、以下になります。

この結果に対し どのように考えるか? は(現時点では)判断が分かれるかと思われますが、例えば

一般に、アルミ(A5052)など非常に硬い材料:H38以上 は「プレスが出来ない」と言われるが、今回測定した(部分軟化させた)試料は「出来そうな硬さ:H34~H36」である

との評価を踏まえるなら ADC12の部分軟化技術は、生産性向上に寄与する可能性を持っている と考え、今後の研究展開を継続して進める所存でいます。

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終わりに ~ 展示会での報告(開示)

本プロジェクトの概要については、今後出展する展示会でも情報公開を予定しています。

プロジェクトの仔細についてお尋ねになりたい場合は、担当者(水野)に事前アポイントを取って頂く方が確実かと思いますので、メール等で予めご連絡ください。※会社情報は 企業サイト で。

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