Withコロナ開発 ~ 多品種少量生産現場向け伝承ソフト

事 業 計 画

★ 検証ステージ

事前調査した<他業界のソフト>を用いた「技能伝承」への転用を、2ステージで検証します。

第1ステージでは、頻度によって区分した作業を動画・写真・360画像で撮影、その作業に適した撮影方法が何か、使用するそれぞれのソフトで作業内容の理解度に違いが出るか、等を検証します。結果は「被験者が実際に作業を理解できたか」をヒアリングにより判定します。

第2ステージでは、最適な手法でコンテンツを完成させた後にその開発ツールで実際の作業を行い「本当に作業が非対面・遠隔で使用できるのか」を検証します。その際には「撮影漏れ等で重要ポイントが抜けていないか」等を併せて確認しながら、作業者の動きや作業結果を再チェックします。なお、本検証の重要な点は「どのような項目が、撮影時に抜けやすいかを収集・分析する事」でもあり、それは『同様の手法を、汎用ソフトとして社会展開』する際に、重要なノウハウになるからです。

★ 実施スケジュール(概略)

開発、及び 販路拡大の準備に向けた「実施スケジュール」を、以下に示します。

▲ Page Top

事 業 概 要 (抜粋)

開発は各ソフト毎に進めますが、基本コンセプトについて(事前調査も含め)概略を紹介します。

◆ 初心者向 伝承ツール開発

当初は、料理向けソフトの転用を構想し開発者と面談、その結果「料理の悩みは製造業と似ている」と感じました(※例えば、初心者が「作業手順書」を理解するのは難しいので動画を使いたいが、作業中は機械を操作するため、動画再生の操作と両立できない)。そこで、今まで当社で使用していた動画を流用し、加工工程で試験使用しながら「使い勝手の悪さが解決できそうか?」確認してみました。

その結果、30秒程の短い動画を用いて「作業注意点を簡単に指示」する事が可能となり、同じ要領で動画収集することで他工程でも同様の問題解決が出来ると考えました。※但し、同じ調理場で連続作業が可能な料理ソフトと異なり、工程作業は「特定の現場」でしかできないため、各現場へ移動しながら撮影・実証を行う必要がある。

しかしながら、実際に開発を進める段階になって「作業以前の基本的な事が、充分に理解されていない」という問題点が改めて明確になり(※仔細は次項で後述)、先ずその点をクリアする必要がありました。そこで、以前に別事業で協業使用した「マターポート」の転用を検討、3Dデータ化した「ヴァーチャルな会社」に初心者や新入社員が理解していない情報をリンクさせることで『情物一致の管理システム』が構築できる、と考えました。

なお、本開発を通じて(従来の)<言語依存>した情報体系を<バーチャル空間>へ移行できれば、海外のスタッフにも利用可能となるので、今後の「技術伝承グローバル化」「海外マーケット展開」へも大きな期待が生まれると言えます。

◆ 経験者向 伝承ツール開発 ~ 「画像整理ソフト」の転用

「Proceedクラウド」は写真情報を整理して進捗管理する機能に優れており(元々は)多種多様な現場を多数抱えている重工業向けに開発されたソフトです。当社でも従来から、作業の重要ポイントを写真撮影しエクセルで手順書を作成するなど「写真の活用」は進めていたのですが、例えば「量産型モノ作り・手順書」の様に<定常動作を繰り返す生産>では役に立つツールが、当社の様に「多品種少量」で、時には<イレギュラーな加工対応も発生>するような業種だと、手順書の数が多くなると同時に個別の変更について<都度の説明を口頭で加える>様になりがちで、指導忘れ・加工ミスの原因になっていました。

また、個別製作におけるピンポイントの注意点は「動画を見るより写真の方が明確」なのですが<必要なポイントを検索する>のが(先の)手順書スタイルでは難しく、類似写真も多いため「AIによる特定」も難しいと考えられました。

この「Proceedクラウド」は、左の写真の様に「情報追加が可能」なので必要な情報の検索が可能になるほか「指導ポイント」を追加すれば<ワンポイント手順書>としても使用できるのではないか?と考えました。

加えて重要なポイントとして「タグの利用」があり、例えば「不良」「コツ」などのキーワードを入力することで(※若年層に利用が多い「インスタ」の様に)<タグ入力キーワード検索>が容易に行えるようになります。

左の写真は(前述の)追加情報を「指導ポイント」として加えた事例です(※赤囲み部分)。作業者やコメントに加え作業日時も記録でき、ノウハウ所有者や過去の指導履歴も残せるので<個人ノウハウを「組織の知識」として蓄積する仕組み>が構築できます。

システム開発では、指導チェックを含めた以下ステップを踏まえながら、有効性を検証する様にします。

  1.  教育予定の作業写真を撮影する
  2.  類似製品や工程の写真を検索、違いや注意点を追記する
  3.  その際、指導が不足しがちな情報を確認、あれば追加撮影する
  4.  タグやコメントに、指導したい内容を適宜追記する
  5.  指導の受講者が実際に写真・追加情報を見て「非対面・遠隔」で加工出来るか検証する

以上の様なスタイルで「Proceedクラウド」を活用する事により、大量の手順書やNGリスト等を削減すると共に、より効果的で効率的な指導(例えば、指導漏れ・指示漏れの防止、指導バラつきの平準化、点在していたノウハウの集中管理、他)が実現可能と考えました。

▲ Page Top

開 発 過 程 (抜粋)

開発は、初心者(新入社員を含む)向け、加工経験者向け に分けてスタートしました。

◆ 画像データの収集・整理 ~ 業務習慣として

若手人財で「撮影チーム」を編成、会社からスマホを貸与し撮影を進めました。その際に、新入社員には「新しい事を学ぶ際に、常に写真を撮影する」「講習等の資料は全てPDF化する」旨を指示、若手社員には「日常作業より、突発故障の修理作業や年数回程度の作業」等のノウハウ継承に絞って撮影するように指示しました。

写真は全てクラウドに「作業別で保管」しますが、大量の写真には重複も少なからずあるので、先ずは「アルバム」機能を用いて重要なものをピックアップする様に進めて行きます。

次に、それらを「Proceedクラウド」にアップします。

前掲したように「Proceedクラウド」にはコメントや注意点を簡単に記入できるので、技能伝承に必要な情報を適宜に付加していきます。これらの作業を日常的に行うことで「写真や動画で業務を記録、自分達で編集する習慣」が身に付くことも、今回の重要なアウトプット(成果)になりました。

◆ 伝承技術・情報整理システム ~ 初心者+経験者の「統合利用」ツール

計画に従って ①初心者(若手新卒・業界未経験者)向け指導で<最初に困る事> ②経験者向けに、突発事故・不定期メンテナンス・稀な作業など<忘れてしまうノウハウ> の2つに分類、ソフトを活用したシステム制作へ進みましたが、ここで思わぬ点が明らかになりました。

新卒社員にヒアリングする過程で「機械操作への不慣れ」等は把握していたのですが、それよりも重大なのは「どこに何が有るか分からない」「専門用語の理解が出来ていない」「当社独自、業界固有の呼称を知らない」など <基礎的な知識・情報が曖昧未整理なまま、指導を受けている姿> が浮かび上がったことです。つまり「作業はプッシュ型(繰り返し指導)で習熟度が上がるが、基礎的な知識はプル型(分らない点を調べに行く)で理解しなければならない」ので、作業手順を指示するソフトでは<解決が出来ない壁>になる点でした。

そこで、言語ベースの知識については業界資料等を参考に参考テキストのデータベースを制作、置き場所問題に関しては別事業で使用していた「マターポート」を使用する事を検討しました。この「マターポート」は会社3Dデータ化したシステムですが、そのバーチャル空間内に「情物一致の明示化」を構築できれば <分からない人が、自ら知らべて分かる> 様になり、前述の壁を乗り越えることが出来る、と考えた次第です。

上記の写真が、実際に「マターポート」にアップした事例です。一般的な「構内図」よりも明確に「クッキリ」と情報が得られるのが、お分かり頂けると思います。

   ★   ★   ★   ★

次に経験者向けですが、ヒアリングを通じて「過去の写真や資料が有効利用されていない」という(ベテランにありがちな)面が明らかになる一方で、原因・理由に「情報の個人所有、資料の所在が不明」等の実体がある点も浮かび上がりました。そこで対策として「写真や動画のクラウドサービスにアップしてURL・QRコードを作成、作業現場の近くに常備」する点に加え、前掲「マターポート」にもコンテンツを置くことで 一元管理が可能な「統合利用ツール」へのバージョンアップ を果たしています。

更に(以下の様に)「Proceedクラウド」を併用する事で <工程順に整理した作業情報> のノウハウ化が可能となりました。なお「作業を行いながら撮影が出来ないケース」も散発したため、追加対策として「自動で写真を撮る機器:『ラズパイ』」を導入。これにより「写真の撮り忘れ対策」も補完可能となりました。

▲ Page Top

開 発 成 果 ・ 事 業 効 果

今回の開発(全般)を通じて「OJTをOFF-JTへ置き換える」仕組みが構築できましたが、その背景ポイントには(繰り返しになりますが)「多品種・少量生産の現場では繰り返し作業が少ないため、ノウハウ継承にはベテランと新人が一緒に作業する必要があるが、忙しいベテラン作業員が指導を行う事が生産性低下に繋がる」というジレンマがある点です。それに対し、本システムを活用する事で「作成時には一定時間が必要なものの、その後は同じ指導を現場で行わずに済む」様になる、と思われます。

今後は、今回の協力パートナーと連携した「システムの汎用化:販売」を見込んでおり、当社も2023年度には積極的な「システム充実化」を図る所存です。なお、本Webページ記載以降の新情報は 「成果:製品サービス」 ページにも掲載して行きますので、今後の展開にも ご注目・ご期待ください!

▲ Page Top

関連 Tech. サイト

★ 協力・コラボ 関連 ★